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2016/12/22

ビルベルギア入門

ビルベルギアとは

Billbergia vittata
 


 ビルベルギアはアメリカ大陸の新熱帯区(Neotoropic)と呼ばれる地域に分布するブロメリア科の植物です。またブロメリア科はパイナップル科やアナナス科と呼ばれることもあります。学術的な分類はブロメリア科ブロメリア亜属ビルベルギア属となります。ビルベルギアは沢山あるブロメリア科の植物の中の一つということになります。

 基本的には自生地でのビルベルギアの様子が書かれた日本語の書物はありませんが、日本ブロメリア協会や国際ブロメリア協会の会報、また海外のブロメリア図鑑などには自生地での写真などが掲載されています。ブロメリアについての書籍に関しては日本ブロメリア協会のホームページhttp://www.bromeliads.jp/index.htmにアーカイブがあり、たくさんの書籍が紹介されています。

 ビルベルギアは葉を筒状に形成し、そこに水や養分を溜めて吸収します。根は岩場や木に着生する目的が大きく、あまり水分を吸わないようです。原種は主に新熱帯区に分布していますが、コレクターに人気のある品種は園芸品種が多く、地味な原種よりも交配で創られた派手なものが人気です。詳しくは以前書いたドミンゴスマルティンスの記事をご覧ください。
 また、ビルベルギアの品種については、国際ブロメリア協会のページ(http://registry.bsi.org/?genus=BILLBERGIA)に登録されています。たくさんの写真を見る事ができるので、購入の参考になると思います。

ビルベルギアの一生

Billbergia Talbot amanda

 

基本的にはビルベルギアは子株から数年で開花します。たくさんの蕾が数日かけて開花するのですが、実際に花が咲いている時間はとても短く、早いと数時間で終わってしまいます。
 
 また、開花すると株の成長は止まり、根元から新たな子株を出します。開花後は親株の成長は止まり、体力のつづく限り子株を増やしながら枯れていきます。中には一つの子株を出すと親株が枯れてしまうような、増えにくい株もありますが、基本的には複数の子株をつけてから枯れる物が一般的です。
右は三つ目の子株。左の親株は枯れているように見えるがギリギリ生きている)

(右が親株で、左がその子株。左の子株は4か月ほどで親株から切り離した。その後しばらくするとまた子株をつけた)


 これが一株のビルベルギアのサイクルです。開花すると成長が止まるのは、ビルベルギアは筒の真ん中に成長点があり、そこから花序と呼ばれる花をつけるための茎が生えてくるからです。花序が出るまではその成長点から新しい葉をどんどん出します。外側の葉が一番古く、内側の葉が新しい葉です。そして、最後にその成長点から花序が出てきて開花するのです。


 (筒から抜き取った花序)

 (筒の中の写真。中央の赤いところが成長点で、花序が生え始めている)



2016年オンシーズンを終えて

  私の育成環境を紹介します。3月頃から11月末まで栽培した感想です。私は植物を育てだして一年目なので初心者ですが参考になると幸いです。

 基本的に私はマンションの5階の主にリビングの窓辺(ほぼ南向き)で栽培しています。ビルベルギアをより良く育てるため、というより自分の環境下で育てるために最適な方法を模索しています。




 また入門書としてはスピーシーズナーセリーの藤川さんの著書「エアプランツとその仲間たち ブロメリアハンドブック」があるのでそちらを購入されると良いと思います。

 まず植え込み材は水苔にしました(ただ水苔は良くないという話を聞く事もあるので、他の選択肢でもよいと思います。わたしの場合は室内管理が多いので細かな石や砂が飛び散らない水苔を選んでいます)。基本的にはビルベルギアの根は着生する役割が大きく、あまり根から水や養分は吸わないようで、それほど用土に気を使う必要は無さそうに感じています。参考にしたのはこちらのサイトhttp://mitsugen.blogspot.jp/2014/07/blog-post_22.htmlです。ビルベルギアにとって水苔が最適な植え込み材とは限りませんが、室内で栽培するにはとても便利です。しかし、水苔単用だと根が張り、時間が経過すると硬くコルクのようになり過ぎるが気になりました。現在は試行錯誤中で、水苔にバークチップを混ぜて使ったりしています。バークチップを使うことで水苔の間に少し空間ができます。


 
 また鉢については、初めは黒いプラスチック製の鉢を使っていたのですが、現在は半透明のプラスチック鉢に自分でスリットを入れて使っています。室内での栽培が中心なので、日照を少しでも確保しようと、植物の周りのものはできるだけ白に統一しています。黒い鉢の場合、大量のビルベルギアを窓辺に並べると印象が少し暗くなることに気がつき半透明のものに変えました。
 水やりのタイミングですが2点だけ注意していました。

  • タンクの中には水を常に溜めておく。
  • 水苔が乾燥したらしっかりと水を含ませる。


 それ以外はかなり適当に管理していました。水苔に水を含ませる場合はバットによる腰水をしました。しかし、株に対する給水という意味では用土をを濡らす必要がそれ程有るようには感じません。もしかすると根が張ることによって、株が活着し安定し生長に影響があるのかもしれませんがよくわかりません。最近になって気がついたのですが、用土が湿っていることよりも、栽培環境の湿度の方が、より直接的に葉の姿に影響を与えているように感じます。何故かというと、常にタンクの中には水を溜めているのに、葉先がカールしてくる株があったからです。葉先のカールは恐らく乾燥からくるものだと思います。なので、最近ではこまめに霧吹きで水を掛けています。もしくは水はけのよい用土にして、潅水を多めにすればよいかもしれません。

バットを使っているので、用土を濡らす時は1センチほど水を張って腰水にすると楽です。

ビルベルギアの育て方の基本


 一般的に良く言われているビルベルギアの育て方を紹介します。

  • 乾燥に強くしばらく水をあげなくても枯れないが、水をやる必要が無いわけではなく、むしろ水は沢山あげても良い。基本的には用土が乾くと筒の中の水を入れ替えるつもりで沢山の水をあげる。
  • 注意点は高温多湿で蒸れる様な場合は水のやり過ぎで株が腐ることがある。十分な通風で蒸れを防ぐ。通風のない室内の場合はサーキュレーターなどで風をつくる。
  •  また徒長(葉が無駄に伸びて不格好になる)の原因になるので基本的に肥料を与えることはしません。
  • 年間を通して日照は確保する。日当たりはビルベルギアを綺麗に育てる上で一番重要になる。注意点は夏場の直射日光は葉焼けの原因になるので遮光シートなどを使い直射日光を避ける。
  • 気温は5度~35度で、冬場は度を下回ると枯れる可能性が出るので、最低気温が10度を下回り出したら注意する。室内に取り込むか、簡易温室などで囲えば冬越しできる。
  • 冬場はタンクの水を抜き、水やりは控えめにする。特に温度が低いと水が冷えて株を痛めるようです。ただ、これは間違っているという意見もあるので検証が必要。また室内に取り込んだ場合は普通に水をやっても大丈夫。

  簡単に説明すると、梅雨明け頃から直射日光に注意しながら、遮光するタイミングを考えていきます。そして11月後半から最低気温に注意しながら冬支度のタイミングを考えます。また環境を急激に変えると株を痛める原因になるので、春になり暖かくなってから直射日光の下に出すときは少しずつ慣らしながらにします。

ビルベルギアは強い


  今回の投稿はビルベルギアに興味を持った、これからビルベルギアを育ててみようと思っている人に説明するつもりで書きました。また地域や環境によってそれぞれにあった方法があると思いますので、いろいろな方の栽培方法を参考にされると良いと思います。ビルベルギアを育てだして、初めての冬になりますが、春から育て始めて枯れた株はムーランルージュという品種の子株だけです。かなり沢山の株を育てていますので、ほとんど枯らすことなく育っています。綺麗に育てるには少しコツがいるようですが、丈夫な植物なのでぜひ育ててみてください。








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